こんにちは。MHです。
今日は新人漫画賞の選評について思うことなどを。
「選評」とは、漫画賞において受賞作を評する、
編集部や選考委員の漫画家さんのコメントのことです。
バンチKaiでは毎月開催の月例賞のほか、
3か月に1回開催の、「大波賞」という漫画賞を実施しています。
そこで、特別審査員としてバンチKaiでご活躍中の
漫画家さんにも選評を執筆いただいております。
漫画の先輩ならではの、愛と、厳しさ、そして「覚悟」の
入り混じったコメントが本当に毎回すばらしく、
なんというか、新人の描き手さんにとって、
この先悩んだ時に道しるべになるような、
射程の長い「羅針盤」になると感じます。
※※ちょうど8月28日に、鈴木マサカズ先生にご参加いただいた第9回大波賞の結果発表があります。どんな受賞作が出るのか、ぜひご注目を※※
そうした選評に比べると、
いつも自分の選評は即物的な意見になりやすいと感じ、
新人漫画家さんにとって、悩んだ時の羅針盤になるような言葉には
成り得ていないのではと悩むことしきりです。
(漫画賞の編集部評は、分担で各編集者が、
選考会で出た意見をまとめて、書いているのです)
ただ、選評を書く時に、一応自分なりに意識していることがあります。
昔、新卒で私が入社した別の出版社でのことです。
私がとっても尊敬しているベテランのレジェンド編集者のSさんが
当時、編集長をしていた編集部に、研修配属されました。
そこで、マンガ新人賞の選評を書く仕事が回ってきました。
(研修生なので、選考結果に影響のない疑似選評です。
最後に編集部の先輩に見せて添削をしてもらいます)
新人賞の作品なので、熱意は漲っていながらもどこかしら粗削りな作品が多く、
それまでプロ作品しか読んでいなかった私は、
どうコメントを書けばいいのか悩みました。
なにか新人さんの役にたつコメントを書かないといけないのでは、と考え、
ここの描き方がちょっとわかりにくいのではないか、
ストーリーがちょっと暗すぎるのではないか、
ということなどを、悪戦苦闘しながら書いてみました。
そこに、大柄なS編集長がひょこひょことやってきました。
S編集長は私の選評を一瞥したのち、
「俺はなあ……この全応募作の良いところがわかるぞ!」とだけ言って、
嬉しそうに去っていきました。
ハッとしました。
あ、そうか、そういえばマンガって、どこか粗削りだったりクセ強を感じたりしても、すごく良いセリフとか表情とかキャラとか展開とか、なにかしら自分にとって「めっちゃおもしろいところ」がひとつあれば、それ以外はほとんど気にならなくなる表現だった気がする。
研修生として変に「仕事だ」と気負った結果、
重箱の隅をつつくようなところばかり気にしていた私に、
S編集長の「楽しそうに新人さんの良いところ探しをする」様子は、
めちゃくちゃ「読者っぽい」、とってもステキな姿勢に感じました。
S編集長は、
「細かいあらさがしをするな、漫画家さんの良いところを伸ばす選評を書け」と
言いたかったのだと私は受け取りました。
それが今も心に残ってます…と、さもイイ話風に書いたのですが、
今でも、いざ選評を書くとなると、漫画家さんの才能を数百字で評するというのは
本当に本当に難しくて、今もなかば「あの選評、うまく書けただろうか・・・」と
悩んでいたりします。
しかし、新人の漫画家さんには、欠点を減らすことよりも
それらすべてを忘れさせるような、
ご自身の「良いところ」を伸ばしていってもらえるような、
そんな選評を書けたらいいなと思っております。
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現在募集中の第10回「大波賞」は、
「売国機関」のカルロ・ゼン先生&品 佳直先生が特別審査員として登場!
ぜひ選評にもご注目下さいね。